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💎アール・デコ100年展レポート!幾何学デザインの魅力に迫る

現在、中之島美術館で開催中(2026年1月4日まで)の『アール・デコ100年展』に行ってきました。本展は、2025年大阪・関西万博の開催年に合わせて企画された特別な展覧会です。

ちょうど100年前の1925年、パリでは『アール・デコ博』が開催され、その展示会をきっかけに世界に新しいデザインの波を起こしました。

アール・デコ様式とは、それまでの曲線的なデザインとは対照的な、直線や幾何学模様が特徴の、モダンで華麗なデザインです。第一次世界大戦後、社会の機械化と大量生産が進む中で、この工業的で力強い様式が一気に流行しました。

この記事では、「新時代のヴィーナス!アール・デコ100年展」の華やかな魅力をお伝えいたします。

目次

ブシュロンの宝飾品

ブシュロンは1858年創業のパリ宝飾店。現在でも世界の宝飾店のトップクラスに位置しています。
イギリスのエリザベス女王もブシュロンの熱心な顧客の一人でした。

アール・デコの流行期に多くの貴族から愛されたブシュロンの宝飾品が会場で見ることができました。
展示品を見ていると当時の貴族たちの豪華なドレスを飾っただろうと想像しながら見てまわりました。

【↑画像】インドの影響を受けた作例:植物や花のモチーフが彫刻されている。ブローチとしてコートなどに用いられたようです。

【↑画像】幾何学的なピラミッド型のダイヤモンドが連なるデザイン。

【↑画像】ブラックエナメルに囲まれた宝石は「ベゼル留」で宙に浮いたように見える。ブラック&ホワイトのコントラストを大胆に使用。

ベゼル留とは
宝石を縁で固定する留め方

【↑画像】インドの王族マハラジャのために作成されたバックルベルト。会場内でもキラキラが際立っていました。

【↑画像】素材はダイヤモンド、ラピスラズリ、クリスタル。シンメトリーで幾何学的なパターンの懐中時計。
アール・デコらしいデザインですね。

【↑画像】従来のブローチからクリップ式が登場し、ジャケットや帽子に取り付けることが流行りました。

アール・デコ時代のポスター

アール・デコ時代のタイポグラフィは、定規やコンパスを使って描いたような独特の様式があります。ポスターは文字を見ただけでアール・デコを感じます。

タイポグラフィとは
ゴシック体や、飾り文字、イルミネーションなどを表現するために装飾された文字(フォント・書体)のこと。

デザイン性を競ったアール・デコ時代の自動車

動く芸術品」として、富裕層のモータースポーツや華やかなライフスタイルを象徴した車にうっとりしました。

【↑画像】濃紺のセダン:BMW Dixi 3/15 DA-4 (1930年)。従来の大型車に比べてコンパクトで、大衆向けを意識したデザイン。

【↑画像】赤とクリーム色のロードスター:BMW 315/1 ロードスター (1935年)。アール・デコが流線形(空気がスムーズに流れるカーブ)デザインを取り入れ、スピード感を追求し始めた時期。

ルネ・ラリックのガラス工芸

ラリックはアール・ヌーヴォーからアール・デコの両方の時代で活躍しました。建築の内装、車のアクセサリー、化粧ボトルなど幅広く活躍した作家です。私は以前からルネ・ラリックの作品が好きで、シャープな美しい線に惚れ惚れします。

【↑画像】ルネ・ラリックがウォルト社(WORTH)のためにデザインした香水瓶です。

【↑画像】ダリアのモチーフの化粧用容器です。

他にもラリックの素敵な作品がいくつもあったのですが、今回は撮影禁止でご紹介できませんでした。
ぜひ会場で、実際にご覧ください。

アールデコ時代のドレス

華麗なるギャッツビーを彷彿させるドレスの数々。貴族たちのパーティが目に浮かぶようです。

【↑画像】マドレーヌ・ヴィオネの作品。当時としては画期的なバイアスカットのドレスを考案した第一人者です。

【↑画像】メゾン・パキャンの作品。

【↑画像】ポール・ポワレの作品。

【↑画像】ポール・ポワレの作品。会場内で最もアール・デコらしい装飾が施されていた。

追加情報

アール・ヌーヴォーの終焉とアール・デコが人気になった背景

アール・ヌーヴォー(19世紀末〜)とアール・デコ(1910年代半ば〜)は、わずかな期間で対照的な流行を生み出した、20世紀デザイン史における極めて重要な芸術様式です。

優美なアール・ヌーヴォーが短期間で姿を消し、幾何学的なアール・デコが一気に広まった背景には、第一次世界大戦後の社会構造の変化や、新しい富裕層の価値観の変化が深く関わっています。

当時の富裕層には、伝統的な芸術を好む貴族文化と、モダンで最新の芸術様式をいち早く取り入れる革新派がいました。アール・デコは革新派(トレンドセッター)の富裕層に支持され、自身の富と進歩的な感性の象徴としました。

アール・デコは、植物の曲線美を追求したアール・ヌーヴォーとは対照的に、機械的で幾何学的、直線的なデザインを特徴としており、まさに**「近代化」「大量生産」**の時代精神を体現するものでした。

そのため、進歩的な思考を持つ富裕層は、感傷的な曲線のアール・ヌーヴォーを「過去の様式」と感じ、工業的で力強い**アール・デコの「斬新さ」**に、新しい時代の象徴を見出したのです。これが芸術の劇的な世代交代を促しました。

私の好きなアール・ヌーヴォー

現代も多くのファンを持つアール・ヌーヴォーですが、私もアール・ヌーヴォーとアール・デコともに大好きです。

私の好きなアール・ヌーヴォー様式は、ガウディ建築とパリのメトロの入り口のモニュメントです。

【↑画像】左:カサミラ(バルセロナ) 右:メトロ入口(パリ):Gemini AIによる加工あり

アール・デコ 私のコレクション

アール・デコ様式の製品は身につけるモノでいくつか購入してきました。
その中のお気に入りたちです。

【↑画像】左:ギャッツビーに憧れてパリで購入(かぶる機会なし)。右:ラリックデザインの香水ビン(50年前に購入して未開封)。

【↑画像】左:アールデコらしいデザインが気に入って使っています。右:動かない時計を一目惚れで買いました。

まとめ

いかがでしたか? 2025年大阪・関西万博開催年に合わせて企画された『アール・デコ100年展』は、単なる美術展ではなく、100年前のモダンなライフスタイルを体感できる貴重な機会です。

会場に並ぶのは、現代アートのように斬新な幾何学デザインのブシュロンの宝飾品、スピード感あふれる流線形の自動車、そして『華麗なるギャツビー』の世界から飛び出してきたような豪華なドレスの数々。

アール・デコは、それまでの優美で感傷的な芸術から決別し、「新しい時代」の幕開けを象徴したデザインです。直線的で大胆なその美しさは、私たちに「モダンとは何か」を語りかけてきます。

ぜひこの機会に、「かっこいい」と「豪華絢爛」が融合したアール・デコの世界に足を踏み入れ、未来を夢見た100年前の熱狂を感じてみてください!

最後までご覧いただき、ありがとうございました。
今後もどうぞよろしくお願いいたします!

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この記事を書いた人

こんにちはKIKOです。60歳まで猛烈に仕事人間だった私が、60歳にふらっと行った一人旅が面白く、自由旅行に目覚めました。
個人手配の海外旅行は知識不足でトラブルだらけ、鉄道の予約に苦しみ、買い物をすれば時にはボッタクリにあい、街ではスリの経験も、旅に行けば毎回、何かしらのピンチの連続です。あとで思い返すとトラブルこそ笑える楽しい思い出です。私の失敗も含め旅の情報をブログで発信していきます。
旅行を趣味にして十数年になり、少しは旅慣れてきました。自由旅行の楽しさ、お得な航空券の探し方、自分にあったホテルの見つけ方、現地でのツアー選びなど、旅の魅力をお伝えできたら嬉しいです。旅行を通して元気でワクワクするシニアライフを目指します。

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