
私の周囲にブルーオーシャンドームに行った人がいなくて、口コミを見ても意見は大きく分れていたので期待せずに行きました。行ってみると、とても美しく、深く心に残るパビリオンでした。
特に、プラスチックごみに関する事実には学ぶことが多くありました。
「毎週クレジットカード1枚分のプラスチックを食べている」なんて…知らなかったことばかりで、考えさせられる時間になりました。
私は、テクノロジーの進化や未来への夢を感じる展示が好きなのですが、
今回のような「未来のために立ち止まって考える展示」も、すごく大事だと気づきました。
多くの方に見ていただきたいパビリオンの一つです。
訪問時の基本情報
訪問曜日:5月22日(木)
入館時間:18:00(予約あり)
待ち時間:約5分
見学時間:約35分
見学の流れ:
1つ目のドームでは、水の流れを自由に眺めながら進みます。
2つ目のドームでは、座って巨大な球体スクリーンの映像を体験。
3つ目のドームでは、段ボールの椅子に座り、リサイクルをテーマにした物語映像を鑑賞。
出口ではピンバッジがもらえました♪
1つ目のドームの建築材は『竹』
🌿「竹」とは?
竹は日本でも昔からなじみ深い植物です。
見た目は木のようですが、実は草の仲間(イネ科)で、成長がとても早く、わずか3~5年で建材として使えるほどに成長します。
軽くてしなやか、折れにくく、湿気にも強い――
そんな特徴から、古くから道具や建築に使われてきました。
🏠 建築での「竹」の使われ方
🏯 日本では?
日本の伝統建築でも、竹はとても重要な素材として使われてきました。
- 土壁の下地材(竹小舞)
細く割った竹を格子状に編み、その上にわらと土を混ぜたもの(荒壁)を塗って、室内の壁を仕上げます。
→ この壁は湿気を吸ったり吐いたりして、室内を快適に保つ優れもの。 - 外壁や仕切り、垣根にも竹
今でも料亭や旅館などでは、竹垣や竹の壁が風情ある装飾として使われています。
見た目の美しさだけでなく、軽さと強さも生かされています。
ただし、日本の現在の建築基準法では、主要構造材として竹を使うのは制限が多く、耐火性などの基準を満たすのが難しいため、一般住宅の柱や梁にはあまり使われていません。
🌍 海外では?
一方で、東南アジアや中南米などでは、竹が建物の骨組みそのものに使われる事例も増えています。
- インドネシア・ベトナム・コロンビアなどでは、竹のドーム型屋根やホールが実用化。
- 竹を現代的にデザインしたホテルやレストランも登場し、「エコで美しい建築素材」として世界的に注目を集めています。
また、竹を加工して板材やパネル状にした「竹合板」は、フローリングや家具材など、建材としての幅も広がりつつあります。

1つ目のテーマは『水の循環』
生き物のように流れていく水。アートのように美しく見せてくれます。
ここでは、いつまでも、ずっと見ていたい気分です。




2つ目のドームの建築材は『炭素繊維』
🔍炭素繊維(カーボンファイバー)とは、
- 軽いのにとても強い(鉄の10倍の強度で、重さは1/4程度)
- さびない・腐らない
- 加工しやすい
といった特徴があります。
🚗 車(とくにF1や高級車)
✈ 飛行機(ボーイング787など)
🎿 スポーツ用品(ラケット、ゴルフクラブ)
👩⚕️ 医療機器
…など、実は日常の中でも使われている素材です。
🏗️ では「建築」ではどうか?
建築分野では最近ようやく使われはじめた段階で、
- 主に補強材(既存のコンクリートを補強するなど)として使われることが多いです。
- 主要構造材(柱や壁)として建物全体に使うのは非常に珍しい。
つまり、日常にある素材だけど、建物まるごとに使うのは世界的にも初のチャレンジ級というのが実情です。

2つ目のテーマは『海洋の危機』
「海の豊かさ」「プラスチックごみ」「人間の影響」「海の未来」などを映像で伝えています。
球面になったスクリーンに映される映像は高画質で非常に美しいです。
直径10メートルの半球型LEDスクリーンは迫力があります。

メッセージパネルで知った衝撃
「1分で20トンのごみが海へ」な
「2050年、海は魚よりプラスチックが多くなる」
「私たちは毎週クレジットカード1枚分のプラスチックを食べている」
3つ目のドームの建築材は『紙管』
📦「紙筒」とは?
「紙筒」とは、紙をぐるぐる巻いて円筒状にしたものです。
トイレットペーパーの芯を思い浮かべてください。あれをもっと太く・丈夫にしたものです。
普通の紙よりも何重にも巻いているため、
- 軽いのに強い
- 短期間なら屋外でも使える
- リサイクルがしやすい
という特徴があります。
もともとは布のロールやフィルムなどを巻くための工業用の芯として使われていました。
🏗️「建築」ではどう使う?
紙筒を建築に使う――という発想を世界で初めて本格的に形にしたのが、日本人建築家・坂茂(ばん しげる)氏です。
🧑🎓 坂茂(ばん しげる)氏とは?
- 世界的に有名な建築家(1957年生まれ)
- 2014年、建築界のノーベル賞といわれる「プリツカー賞」を受賞
- 「安くて・軽くて・早く作れて・環境にやさしい建築」を目指す
特に「災害時の仮設住宅やシェルターに、紙筒を使った建築」を多く手がけています。
🛖 坂氏の紙筒建築の例
建築名 | 場所 | 特徴 |
---|---|---|
⛺紙の教会(Paper Dome) | 台湾(もとは神戸) | 阪神淡路大震災後に建てた教会。紙筒を使って温かみある空間に |
🏠紙のシェルター | トルコ、ルワンダなど | 災害時にすぐ建てられる仮設住宅として活用 |
🏛紙のパビリオン | EXPO2000(スイスパビリオン) EXPO2005(日本館)、ほか | 展覧会などの建築にも使用。解体しやすく再利用可能 |
→ いずれも、紙筒とは思えないおしゃれでしっかりした建物が特徴です。

3つ目のテーマは『未来に向けた知恵と行動』
レンゴーという大手段ボール会社の映像です。
使用された段ボールが回収され、また新たな段ボールが生まれていく物語でした。

🏛 段ボールの建築を見て思い出した
このパビリオンを設計したのは、建築家・坂茂(ばん しげる)氏。
ここで初めて紙筒のドームを見たときに、
以前ニュージーランドで見た「クライストチャーチの段ボールの教会」を思い出しました。
調べてみたら、ニュージランドの協会もやっぱり坂氏の作品でした。偶然の再会に、ちょっと感動しました。
ニュージーランドの震災時に坂氏が教会の設計を受けた経緯が書かれた記事を見つけました。
2011年8月13日の朝日新聞はこちら⏩️
来場者にプレゼント

最後にピンバッチをもらいました。
まとめ
3つのドームは、それぞれ「自然」「危機」「未来の知恵」というテーマでつながっていて、順番にめぐることで、まるで海の物語を旅しているような体験ができます。
そして、ドームの中で何度も出てきたのが「プラスチックごみ」についてのメッセージ。
「2050年には海のプラスチックが魚の量を超えるかもしれない」
「毎週クレジットカード1枚分のプラスチックを体に取り込んでいる」
そんな言葉に、思わず息をのみました。
派手な警告ではなく、静かに語りかけてくる展示だからこそ、かえって心に残るのかもしれません。
未来のために、私たちはもっと「地球にやさしい暮らし方」を考える時期にきているんだなと、あらためて感じました。
それは、大きなことではなくて、毎日の選び方を少しずつ変えることなのかもしれませんね。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
関西万博には、今後も引き続き行く予定ですので、
これからも引き続きよろしくお願いします。
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