海外で、帰りの便が欠航になったことはありますか。
2017年7月29日。台湾・桃園空港で、私が乗るはずの夕方の便が欠航になりました。 台風が近づいていました。
そのとき私が知らなかったことが、ひとつあります。
空港のキャンセル待ちは、並んだ順ではありません。
名簿に名前を書き、「50人待ちです」と言われた私が、その場でトップの順位にいると告げられました。理由は、早く着いたからではありません。
この記事では、そのとき何が起きていたのか、どう動けばよかったのかを、実際の写真と当時の記録をもとに書きます。同じ状況になった方が、空港で読んでそのまま動ける形にしたつもりです。
この記事でわかること
- 欠航のお知らせが来たとき、最初にやること(順番があります)
- キャンセル待ちの順番は、どう決まっているのか
- 名簿に名前を書いたあと、必ず聞いておきたいこと
- 待っているあいだ、どこにいればいいのか
- 次の旅のための備えのチェックリスト
欠航を知ったのは、朝ごはんの途中でした
その日は、友人たちとの台湾旅行の最終日でした。
私だけ、一日早く帰る日程を組んでいました。当時ホテルに勤めていて、日曜は職場がいちばん忙しく、休めなかったからです。
朝ごはんをゆっくり食べて、これから朝市へ行こう、というところでした。夕方の便ですから、5時間はゆうにあります。 そのつもりでいました。

そこへ、欠航のメールが届きました。

ここで最初の教訓です。欠航の連絡は、電話ではなくメールで来ることがあります。
予約時に登録したメールアドレスに届きます。旅行中はメールを見ない、という方は少なくないと思いますが、帰国日の朝だけは必ず開いてください。 迷惑メールフォルダに振り分けられることもあります。
念のため、公式の運航状況も見ました
メールだけでは信じきれず、航空会社の公式サイトで運航状況を調べました。
そこで分かったことがあります。
欠航していたのは私の便だけで、その前の2本は通常どおり飛んでいました。
これは、あとから考えても大きな発見でした。
「台風が来ている」と聞くと、その日はもう全部ダメだと思ってしまいます。 でも実際は違いました。同じ空港の、同じ日の、少し前の便は飛んでいたのです。
つまり——
- その日のうちに帰れる可能性は、まだ残っている
- だからこそ、早く着いた人から席が埋まっていく
もし「今日はもう無理だろう」と宿にとどまっていたら、私は動きませんでした。運航状況を見たから、走る気になったのだと思います。
運航状況は、どこで見るのか
航空会社の公式サイトに、便名や区間を入れて調べるページがあります。私が乗る予定だったエバー航空なら、ここです。
エバー航空「フライト情報 – 運航状況」
https://www.evaair.com/ja-jp/fly-prepare/flight-status-inquiry/
どの航空会社にも同じページがあります。 「航空会社名 運航状況」で検索すれば見つかります。
欠航のメールを見たら、必ず公式でも確認してください。 自分の便が欠航でも、前後の便は飛んでいることがあります。 そこが分かれば、その日の動き方が変わります。
欠航を知ったら、最初にやること
私が実際にやったことを、そのまま順番に書きます。
1. 荷物をまとめて、空港へ向かう
考えるより先に、動きました。 道を走り、駅のホームで人をかき分け、電車に乗ってからも気持ちが焦っていました。
いま振り返っても、これは正解だったと思います。
理由はふたつあります。
- 代替便の座席は、空港のカウンターで配られていく(=現地にいないと勝負にならない)
- 同じ便の乗客が、全員おなじことを考えている(=早く着いた人から名簿が埋まる)
私が着いたときには、すでに40人ほどの行列ができていました。そして、いちばん早い代替便には間に合いませんでした。
2. 電話は「歩きながら」。つながらなくても、止まらない
私は移動しながら、歩きながらエバー航空に電話をかけました。
つながりませんでした。

欠航が出た日は、同じ便の乗客が一斉にかけています。 つながらないのが普通だと思ったほうがいいです。
つまり私は、何の情報もないままでした。代替便に振替できるのか、その便に空席があるのか、何も分かりません。
それでも、とにかく空港へ行こうと決めました。
これが、この日いちばん大きな判断だったと思っています。
情報がないときこそ、空港へ向かってください。 情報を待ってから動くと、情報が来たころには席が埋まっています。電話は歩きながら。つながらなくても、足は止めない。
3. 空港に着いたら、まず名簿に名前を書く
桃園空港には、キャンセル待ちを登録する専用のカウンターがありました。

ここで名前を書かないと、そもそも順番の中に入りません。 迷ったら、まず書く。質問はそのあとで大丈夫です。
目の前の行列の長さは、待ち人数ではありません
これは、あとから気づいて驚いたことです。
私が着いたとき、カウンターには40人ほどの行列ができていました。「40人か」と思いました。
違いました。私は50番目でした。

理由は単純です。名簿に登録した人は、その場を離れていきます。 登録が済めばカウンターに用はないので、カフェへ行ったり、荷物を置きに行ったりします。
つまり、目の前に見えている行列は「まだ登録していない人」だけです。すでに登録を終えて、あなたより前の順番にいる人は、そこには立っていません。
行列が短いからといって、安心しないでください。 逆に、行列が長くても、諦めないでください。 どちらも、実際の待ち人数とは関係がありません。
本当の待ち人数は、名簿を持っている係の方に聞かないと分かりません。
キャンセル待ちは、並んだ順ではありません
ここがこの記事の中心です。
名簿に記入したあと、私は係の方にこう聞きました。「乗れますか」と。
いま思えば、答えようのない質問です。それでも係の方は、答えられる形に置き換えて教えてくれました。
「50人待ちです。ただし、ランクごとの先着順ですので、お客様はゴールドですから、50番目ではなく、現在はトップの順位に上がっています」
続けて、こうも言われました。
「ダイヤモンド会員の方が来られたら、順位は下がります」


※紙の搭乗日が「106年7月29日」となっているのは、中華民国暦(民国紀元)です。台湾では西暦と並んで使われていて、民国元年が1912年にあたります。106に1911を足して、2017年です。台湾で受け取る書類には、この表記がよく出てきます。
つまり、キャンセル待ちの順番は、こういう二段構えになっています。
- まず、上級会員のランクで並び替える
- 同じランクの中で、登録した順(先着順)
私は、登録した順では50番目でした。 それでも順位がトップになったのは、その時点で、私より上のランクの人が名簿にいなかったからです。
49人を飛び越えたことになります。
そして、この順位は最後まで動きます。 あとから上位ランクの人が名簿に加われば、その人が上に入り、私は下がります。実際、下がりました。
「並んだ順ではない」というのは、有利にも不利にも働くということです。
スター アライアンスの場合
私が乗る予定だったエバー航空は、スター アライアンスの加盟航空会社です。
スター アライアンス公式の特典一覧では、キャンセル待ちの優先(Priority Waitlist)と空港での優先スタンバイは、ゴールドにもシルバーにもあるとされています。
- ゴールド:優先あり
- シルバー:優先あり(ただしゴールドの下)
- 上位ランクなし:登録した順
よく「シルバーだと最後尾」と言われますが、それは正確ではありません。 シルバーにも順番の優先はあります。ゴールドの下、という位置づけです。
この日の空席は、2つしかありませんでした。順位がひとつ違えば、結果は変わっていました。
名簿に書いたら、必ず聞いておきたい3つのこと
私が実際に聞いたこと、そして「聞いておけばよかった」と思ったことです。
① いま、自分は何番目ですか
聞くべきは数字です。 「キャンセル待ちは何人ですか」「私はいま何番目ですか」。これなら、係の方はその場で答えられます。
これを聞かないと、待つべきか、別の手を打つべきかが判断できません。 「50人待ち」と「実質トップ」では、その日の過ごし方がまったく変わります。
答えられる質問に変えること。 これが、慌てている場面でいちばん効きました。
② 順位は、これから下がることがありますか
私は聞いてよかったと思っています。「ダイヤモンドの方が来たら下がる」と先に知っていたので、2位に下がったときに動揺しませんでした。
③ 何時に、どこへ戻ればいいですか
私の紙には、呼び出しは12番〜13番カウンター前、12時55分ごろと書かれていました。
場所と時刻の両方を、必ず確認してください。空港は広く、カウンターの番号は離れています。
席が決まるまで、ラウンジには入れないことがあります
待ち時間をどこで過ごすか。これも大事です。
この日、私はラウンジを使っていません。
席が決まっていないので、入れなかったからです。キャンセル待ちの段階では、その便の搭乗券がありません。

上級会員の特典というと、まずラウンジを思い浮かべます。でもこの日、ラウンジは何の役にも立ちませんでした。
私を救ったのは、ラウンジではなく順番でした。
待つ場所を選ぶときの目安です。
- カウンターから遠く離れない(呼び出しは急に来ます)
- 荷物をまとめて、すぐ動ける状態にしておく
- 時間前にカウンターへ戻る(私は指定の時刻より早めに戻って待ちました)
呼び出しの場で、順位はもう一度動きました
指定の時刻より前にカウンターへ戻り、待ちました。
ダイヤモンド会員の方が来られましたので、私は2位に下がりました。
そして、出た空席は2つでした。
乗れました。
この時の感動を時々思い出します。
そのとき私が思ったのは、旅の続きのことでも、座席のことでもありません。
「明日の仕事に、迷惑をかけずに出勤できる」
これだけでした。

もし乗れていなければ、翌日の日曜、私は職場に間に合いませんでした。 台湾に足止めされて帰れなくなる、という話ではありません。一日ずれるだけで、仕事に穴があく。 私にとっての最悪は、そちらでした。
欠航でいちばん困るのは、多くの場合「帰れないこと」ではなく「予定に間に合わないこと」です。 だから、翌日に外せない用事がある方ほど、その日のうちに動く価値があります。
正直に書きます|保険のことは、頭をよぎっただけでした
空港へ向かう電車のなかで、「保険、どうなるんだろう」とは思いました。
でも、そこで止まりました。自分の保険に欠航のときの補償があるのか、あるとして何が対象なのか、私はまったく理解していなかったからです。
分からないものは、その場では使えません。
結果として私は、保険のことを考えるのをやめて、目の前の順番のことだけ考えました。 それで乗れたので、この日は問題になりませんでした。でも、乗れていたらの話です。
これは反省として書いておきます。 補償があるかどうか以前に、「自分が何に入っているか知らない」というのがいちばん弱い状態でした。
出発前に、これだけは確認しておくといいと思います。
- 持っているカードや加入している保険に、欠航・遅延に関する補償があるか
- あるとしたら、何が対象なのか(宿泊費なのか、食事なのか、追加の航空券なのか)
- 請求に何が必要なのか(航空会社が出す証明書、領収書など)
- 現地でもらっておくべき書類があるか
とくに最後のふたつが大事だと思っています。帰国してから「あの紙をもらっておけばよかった」となるのが、いちばん悔しいからです。
※補償の内容は、保険会社・カード会社・プランによってまったく違います。必ずご自身の契約内容をご確認ください。
あの日の台湾で、何が起きていたのか
帰国後に気象庁の記録で確認しました。

- 台風9号(ネサット):2017年7月29日19時10分、台湾・宜蘭県蘇澳付近に上陸(強い勢力)
- 翌7月30日、台風10号(ハイタン)が台湾に上陸——ダブル台風でした
- 2017年7月の台風発生数は8個。平年の3.6個の倍以上で、観測史上最多タイ
私が乗るはずだった夕方の便が飛ばなかったのは、当然でした。 そして翌日も、その次も、状況はよくなっていません。
「一日待てば飛ぶだろう」が通じない日がある。 これが、あとから分かったことです。
次の旅のためのチェックリスト
この経験から、私が実際に変えたこと・気をつけていることです。
出発前
- 帰国日の翌日に、絶対に外せない予定を入れない(可能なら)
- 予約に登録したメールアドレスを、旅行中に見られる状態にしておく
- 航空会社のアプリを入れ、ログインしておく(当日に登録するのは無理です)
- 航空券の予約番号と便名を、すぐ出せるところに控えておく
- 自分が入っている保険・カードの補償内容を、先に確認しておく(現地では調べられません)
欠航のお知らせが来たら
- 公式サイトで運航状況を確認する(自分の便だけ欠航のこともあります)
- すぐ空港へ向かう(電話は歩きながら。つながらなくても足を止めない)
- 着いたら、まずキャンセル待ちの名簿に名前を書く
- 「いま何番目か」「順位は下がることがあるか」「何時にどこへ戻るか」を聞く
- カウンターから離れずに待つ(ラウンジには入れないことがあります)
- 指定の時刻より早めに戻る
まとめ
- 欠航は、メールで届くことがあります。 帰国日の朝は必ず確認を
- 電話はつながらないと思ってください。 それでもとにかく空港へ
- 公式の運航状況を必ず見る。 自分の便が欠航でも、前後の便は飛んでいることがあります
- 行列の長さ=待ち人数ではありません。 登録を終えた人は、その場を離れています
- 「乗れますか」ではなく「何番目ですか」と聞く。 係の方が答えられる質問にする
- キャンセル待ちは並んだ順ではない。 ランクが先、そのあとが先着順
- 順位は最後まで動く。 上位が来れば下がります
- 席が決まるまでラウンジには入れないことがある。 カウンターの近くで待つ
- スター アライアンスでは、シルバーにも優先はあります(ゴールドの下です)
- あの日の空席は2つ。順位がひとつ違えば、結果は違っていました
最後に|なぜ、いまこの話を書いたのか
正直に書きます。私はいま、SFCをこの先どうするかを考え続けています。
制度が変わりました。年間300万円を使わないと、これまでどおりではなくなります。私にその金額は無理です。 持ち続ける意味はあるのか、年会費に見合うのか——ここしばらく、そればかり考えていました。
その最中に、この日のことを思い出したのです。
25年以上、SFCを持ってきました。ラウンジで過ごした時間も、優先チェックインも、優先荷物も、SFCの恩恵は数えきれません。
それでも「持っていてよかった」といちばん強く思ったのは、あの桃園空港の、キャンセル待ちの順位でした。
ラウンジには入れませんでした。席も決まらず、カフェで麺をすすって待っていました。優雅なところは、ひとつもありません。
それでも、あの順番が、私を家に帰してくれました。
私が上級会員の資格にこだわるのは、ラウンジのためでも、良い座席のためでもありません。あの日の、あの順番のためです。
思い出したから、この記事を書きました。
そのスター アライアンス・ゴールドの資格が、いま制度改定で揺れています。何が消えて、何が残るのかは、こちらに詳しく書きました。
【SFC改定】300万円が無理でも慌てなくていい理由|SFC LITEで何が残り、何が消えるのか
【出典】台風位置表 平成29年(気象庁)/台風の統計資料(気象庁)/Star Alliance Benefits & Privileges(スター アライアンス公式)/フライト情報 – 運航状況(エバー航空公式)
※本文中の便名・カウンター番号・呼び出し時刻は、当日受け取った書面の記載によります。
※キャンセル待ちの運用は航空会社・空港・状況によって異なります。実際の対応は各社の案内にしたがってください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました! 今後も旅の情報ともに失敗談も書いていきます。どうぞよろしくお願いいたします!
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